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「大きく息を吸ってください」 健康診断のレントゲンはなぜ写るの? 後編

2009年11月26日(木) 文●綿貫孝彦(診療放射線技師) イラスト●キモトケンジ

医療用のエックス線の条件は?

 前回の記事では、エックス線の性質について解説しました。続いて、医療におけるエックス線撮影のしくみについて解説したいと思います。

 その前に、なぜエックス線を使わなければならないのでしょうか? 前回の記事のおさらいになりますが、エックス線には、人体も含めた物質を透過する能力があるからです。

 ただし、医療で使われるエックス線は、人体を透過するだけでは不十分です。くわしくはイラストをご覧いただきたいのですが、人体に照射されるエックス線はどの面を切り取っても同じ線量であることがとても重要です。つまり、照射されるエックス線は均一でなければいけません。

 前回の記事でも解説した通り、エックス線は光の一種です。私たちの身近な光にたとえると、舞台の一部を照らすスポットライトのように、場所によって照らされていたり照らされていなかったりという光では、医療用の撮影としては不適切です。

エックス線が体の一部にしか照射されていなかったり、線量が多かったり少なかったりでは医療用のエックス線としては不向き

エックス線撮影のしくみは?

 均等に照射されたエックス線が人体を透過すると、入射面と反対側(射出面)から出てきます。つまり、お腹側に照射されたエックス線が背中側から出てきたり、手の甲に照射したエックス線が手の平から出てきたりします。

 先ほど、医療用のエックス線は、均一でなければならないと解説しました。もし、人体がすべて同じ物質でできていれば、入射したエックス線は、同じ割合で反対側から出てきます。しかし人体を構成しているのは骨や臓器、筋肉や脂肪などであり、エックス線の減弱する割合は構成物質によってまちまちです。

 同じ量のエックス線が物質内を透過しようとしても、物質によって透過する量が異なるということは、レースのカーテンと木綿のカーテンを透過する部屋の明かりの違いを例に前回の記事でも解説しました。

 人体も同様に、骨や筋肉、内臓など人体を構成している物質ごとに、エックス線が透過する量が異なります。すると、入射面に対して均一に照射されたはずのエックス線が、反対側から出てくるとき、通った物質によって不均一になります。

人体を構成する物質ごとに、透過するエックス線と透過しないエックス線がある。
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