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「大きく息を吸ってください」 健康診断のレントゲンはなぜ写るの? 前編

2009年11月24日(火) 文●綿貫孝彦(診療放射線技師) イラスト●キモトケンジ

放射線にはどんな性質があるの?

 先ほど、エックス線も光も電磁波の一種であると述べました。人間の目に見える光を「可視光 」といいます。例えば、障子や薄いカーテン越しに、部屋の明かりがついているかどうかがわかります。これは、可視光が障子やカーテンを透過してくるからです。しかし、障子やカーテンではなく、ドアや雨戸を閉めると、部屋の中の明かりは見えません。

 今、ここで皆さんの想像力をふんだんに使って、頭の中で想像してみてください。部屋の明かり(可視光)よりも、エネルギーの大きい光があると想像しましょう。この光にはどんな能力があると想像できますか。光のエネルギーが大きくなると、可視光では通り抜けられなかったドアや雨戸などを、透過できるだろうと想像できませんか?

 その、エネルギーの大きな光の一つが、まさしくエックス線なのです。エックス線には物質を透過する能力があるといえます。

通常の光よりも、エネルギーの大きな光は、光では透過できない物質を透過することもできる

 エックス線が物質をどのくらい透過するかは、透過しようとする物質と大きな関係があります。光が障子やカーテンを透過しやすく、ドアや雨戸を透過しないように、エックス線にもある物質を透過しやすく、ある物質を透過しにくい性質があります。例えば、木やプラスチックは透過しやすく、鉛などは透過しづらくなります。

 エックス線は物質の違いによって透過する量が異なると説明しましたが、物質の厚さによっても透過する量は変化します。例えば、レースのカーテンと木綿のカーテンを透過する部屋の明かりの違いを比べてみると、わかりやすいかも知れません。

 エックス線の物質を透過する能力は、人体でも起こります。このエックス線の性質を医療の現場でどのように利用し、撮影をしているのかを、後半の記事で解説したいと思います。

放射線と放射能の違い
放射能とは、放射線を放出する能力のことをいいます。だから、「放射能を浴びる」という表現は、放射線を放出する能力を浴びるということになり、正しい表現ではありません。放射能というと、怖いイメージがありますが、医療では放射性同位元素と呼ばれる放射能を持つ物質を使って、病気の場所を特定したり、機能評価をしたりすることができます。使用する方法や量を間違わなければ、放射能を持つ物質は私たちにとって有益な存在なのです。
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