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「大きく息を吸ってください」 健康診断のレントゲンはなぜ写るの? 前編

2009年11月24日(火) 文●綿貫孝彦(診療放射線技師) イラスト●キモトケンジ

誰もが気になる「健康」。毎年の健康診断で必ず受ける検査といえば、レントゲン写真です。でも、レントゲン写真はなぜ写るのでしょうか? ここでは、レントゲン写真を撮る理由と、そのしくみについて探っていきます。

なぜレントゲンを撮るの?

 今、あなたが病気や怪我で病院にかかったとしましょう。初めに行われるのは医師による診察です。しかし、この時、医師にはあなたについて何の情報も持っていません。そこで問診と呼ばれる事情聴取が行われます。その時、医師の頭には多くの診断名が出てきます。

 しかし、まだまだ病名は付けられません。情報が足りないからです。問診の次に、触診や聴診(聴診器で胸やお腹、背中などの音を聞くこと)で、新たな情報を得ます。それでも、まだまだ診断名を確定できないことが多く、あなたに対する身体の情報がもっとたくさん欲しくなります。多くの場合、ここで検査と呼ばれる診療行為に遭遇するわけです。

 検査とは患者さんの情報を客観的に示すものです。今回のテーマであるレントゲンは、患者さんの体の状態を画像化して、正確な診断情報を得るための一つの手段なのです。

 ところで、病院などで「大きく息を吸ってください。はい、止めてください」と言われて撮影される検査、これが一般的な「レントゲン」もしくは「レントゲン検査」です。

 実はレントゲン検査の「レントゲン」は、人の名前なのです。レントゲン博士は、19世紀にレントゲン(検査)で使われる「X(エックス)線」を発見しました。医療でつかわれるレントゲン検査は、このエックス線が使われています。ここでは少しかっこう良く、レントゲン(検査)のことを、エックス線撮影と呼ぶことにします。

エックス線を発見したレントゲン博士にはノーベル物理学賞が贈られた

エックス線ってなに?

 エックス線は放射線の一種です。医療における放射線とは、以下のように定義されます。

 通過する物質を電離する能力を有する電磁波及び粒子線

 少し難しいですね。ここでは、エックス線は特殊な能力を持っている電磁波の仲間と考えて下さい。

 テレビなどの放送電波や携帯電話の通信電波などは電磁波ですが、光も電磁波の一種と考えます。その光の中でもエネルギーが大きくなると紫外線という特殊な名前で呼ばれる光になります。私たちの身の回りでもっともエックス線に近いのは紫外線かもしれません。その証拠に、紫外線はお肌の大敵であり、なんらかの影響を私たちに与えていることからも推測できますよね。

 同じような性質を持つ放射線にγ(ガンマ)線がありますが、共に電磁波の性質を持った放射線です。電磁波の中で、最もエネルギーが大きいものがエックス線やガンマ線なのです。

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